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Special Interview
楽曲制作者 管梓さん
メンバーインタビュー編

これまで管梓(For Tracy Hyde / エイプリルブルー)は1stアルバム『Pink』で「Fading Lights」、「スライド」を、2ndアルバム『Green』で「ムーンパレス」、「スカイライン」、「ナイトバード」の三部作を提供し、そのドリーミーな曲調や世界観は多くのファンを魅了している。メンバーインタビューでは、RAYの楽曲制作における意識や自身のバンドでの制作との違い、歌詞の源泉などについて語る。

■RAYの楽曲制作と自身のバンド活動との両立

琴山しずく(以下琴山) 5月8日RAY3周年ワンマン「works」では、普段RAYをいつも支えてくださっている方々にフィーチャーしています。そして今日はFor Tracy Hyde / エイプリルブルーの管さんにインタビューさせていただきたいと思います。

 

メンバー一同 よろしくお願いします。

 

管梓(以下管) よろしくお願いします。

 

内山結愛(以下内山) では役回りとしては楽曲制作者ということなんですが具体的にお話を聞きたいなと思っておりまして、楽曲制作をするにあたって運営さんとどのようなコミュニケーションを通して楽曲が作られていくのか教えていただきたいです。

 

 そうですね。メロンちゃん(RAY楽曲ディレクターみきれちゃんのTwitter上の名前)からいつも「こういう音の曲が欲しい」とか「ライブにおいてこういう存在になるような曲が欲しい」とかイメージが投げられてきて、大体それと一緒に具体的に「このバンドのこの曲みたいな感じにしたい」っていうイメージがメロンちゃんから来たり、逆に僕の方から「そのイメージだとこういう感じが合うかな」みたいな感じで提案してそこから具体的に作詞とか作曲とかアレンジとかをある程度同時進行でやっていくんですけど、僕はワンコーラスできた時点とかフルでざっくり作った時点とかでメロンちゃんに投げて、そこからすり合わせをして行く感じでいつも曲を作っています。

 

内山 ちょっと話はそれてしまうんですけど、RAYにたくさん楽曲を提供していただいていてご自身もバンドを2つ掛け持っていて、この活動の忙しさは大変じゃないかなっていつも思ってるんですけど、両立はどのようにしていますか?

 

 まあ、早い話コロナ以降ずっと会社がリモートワークになっているんですけれど、会社に勤怠管理をするシステムみたいなものがおよそ存在していないので、仕事がない日は平気で朝に「始業します」って連絡を入れてから何もしないみたいな日がざらにあるんですけど(笑)。

 

内山 ちょっと私たちの運営さんと似たようなものを感じる(笑)。

 

 あ、そうなんだ。なので平日の暇な時間とかに曲をガーッと作るみたいな感じでやることが多いですかね。

 

内山 2つバンドがあるじゃないですか。何か本当に想像ができなくて、曲を作るのも大変だと思うんですけど3方向から攻められてるというか、音楽を常に生み出さなくちゃいけないっていうところに苦しみとかはないんですか?

 

 納期に迫られている時とかは、まあ流石にちょっとしんどいなぁと思うんですけれど。そもそも曲を作るのが楽しくてやってるっていうのは前提としてあるので、音楽を作るのが好きだし生きがいでもあるので別にしんどいかと言われると常にしんどいみたいな感じではないですね。

■RAYの楽曲制作で意識している現場性

琴山 曲を思い浮かんだ時に「この曲はこっちのバンドだな」とか曲って分けるんですか?それとも、例えば「今からエイプリルブルーさんの曲を作る」って思って作られるんですか?

 

 まあ、どっちのパターンもあるんですけど。例えば「このバンドのために作ったけどこっちのバンドに回す」みたいなことを今までやったことがあるかっていうと無いので、ある程度それぞれのバンドを念頭において作り始めてはいるんだろうなとは思っています。

 

内山 多分コンセプトがバンドごとにあると思うんですけど、RAYの曲を作るっていうところで何か意識してるものはありますか?

 

 そうですね。ドッツ(アイドルグループ「・・・・・・・・・」の呼称の一つ)時代から一貫してメロンちゃんには、「アイドルの楽曲であることを特に意識しないで作って大丈夫」という風に言われているので、そもそもバンドでやっていることとそんなに大きくかけ離れたりとかはしてはいないと思うんですけれども、それでもやっぱりある程度は自分の中でアイドル性というか、特に現場性みたいなのは意識する部分があって。

  わかりやすく言えば今回提供した「ナイトバード」のシンガロング(Sing Along。演者と観客が一緒に歌うこと)のパートとかはアイドルの現場で多分コロナが終わってから特に映えてくるものを作ろうっていう意識はあったので、そういう部分では主に実用性の面でRAYという対象が活きてくる部分は結構あるのかなと思います。

 

内山 「ナイトバード」は、今声が出せない状況ですけど、みんな手を挙げてくれたりとかその管さんの意思はみんなに伝わって、振り付けにも落とし込まれて届けられているのですごいそういった部分を感じます。

 

 ありがたいな。本当に声が出せるようになるといいですよね。

 

内山 本当にもう早く。

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■みんなで制作することのやりがいと難しさ

琴山 楽曲制作者さんの仕事のやりがいだったり、難しさっていうのはありますか?

 

 そうですね。やりがいとしては自分の頭の中にしかないものが、例えばRAYの皆さんの歌だったり徳永さんのmix・マスタリングであったり、あとはメロンちゃんからのフィードバックに合わせて曲の細部をいじったりとかしていくことで、だんだん色んな人たちが関わった作品としてどんどん膨らんでそれが最終的にRAYのファンの皆さんの手元に渡って各々のものになっていくっていう過程みたいなところがすごく……。

  僕は元々宅録で、一人で音楽を作って一人で完結していた時期がすごく長かったので、その頃の自分からするとすごく贅沢というか、やりがいを感じる部分ですね。

  難しさとしては、正直メロンちゃんも結構細部のこだわりみたいなものがある方だと思うし、僕もある方なので結構細かいやり取りをするとぶつかり合う部分みたいなのが。

 

内山 結構バチバチなったりしますか? 

 

 バチバチにはならない……いや、僕は結構大人気がないので、ちょっと言葉がきつくなってあとで反省したりするんですけど。

  結構細かいやりとりで例えば「この音、どういう意味があるんですか?」みたいな質問があって「いや、これはこういう意図があって、僕はやってるんでちょっとここ変えたくないっすね」みたいな感じで返したりとかはありますね。

 

内山 「しづかの海」のアレンジでそういうバトルがあったっていうのを聞いていたので、今なるほどと思って(笑)。

 

 「このストリングス絶対不協和音だと思うんだけど」っていうのは結構みんなに強く言われて「いや、でも俺これがやりたいんで、ちょっとこれやれないと意味ないんですわ」みたいな感じで返したりとかもしましたね。

 

内山 でも運営さんとはドッツ時代から今まで5年近くの付き合いで。結構阿吽の呼吸で制作というものが進められるようになってきたんですかね?

 

 そうですね。細かいところとかはもちろんやりとりはあるんですけど、大筋として自分が最初に投げたものが「いや、これ全然違うっすね」みたいな感じになったりはしないというか。やっぱりある程度、メロンちゃんの元のイメージからお互い想像するものとか割と近いものがあると思っているので、その点では結構スムーズにはなってきているのかもしれないですね。

■ドリーミーな音と世界観について

内山 管さんの提供してくださるRAYの楽曲は音作りのレベルから歌詞の世界観も含めて、夢とかドリーミーな音とか世界観だと思うんですけれども、管さんにとって夢的なモチーフは、曲や歌詞とか楽曲制作の上でどのような作用をもたらしているとかこだわりとかはありますか?

 

 夢かぁ。

 

内山 あんまり意識はしてなかったですか?

 

 そうですね。普段睡眠時とかもそんなに夢を見ないというか。まぁ印象に残る夢とかもちろん時々はあるんですけど、それが具体的に楽曲に作用していくとかはあんまりないかな。

  ただ、元々生々しい音楽みたいなものに全然興味がないっていうか、詞世界の面でも音の面でも。かと言って向こう岸に行きすぎる感じもそんなに好きじゃなくて。あと、自分が曲作りをする上で結構念頭に置いているのが、現実逃避的なものは大事にはしてるんですけれどもあくまでも現実を生きて行く手段としての現実逃避とか、実生活の中でBGMになるような音楽とかそういうものを作ろうっていう意識が結構強いので、割と夢っぽいものと現実的なもののバランスみたいなものは結構考えては作ってるかもしれないですね。

 

内山 生々しいものがあまり好きじゃないとおっしゃっていて、管さんの歌詞の話になっちゃうんですけど何か現実世界のことなんだけど神聖みがあるというか神々しい言葉が多いなと思っていて、そこで結構現実っぽくもなり過ぎず向こう岸も行きすぎずっていうバランスが保たれてるのかなって思って、絶妙なバランス感覚だなって。めちゃくちゃ言葉のファンなんですよ。

 

 結構前からおっしゃってくださってますよね。

 

内山 そこがポイントなんだなと思って。

 

 ありがとうございます。

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■For Tracy Hyde / エイプリルブルー / RAYの楽曲の方向性の切り分け

琴山 先ほどその曲を作る際にこのバンドに作ろうと思って作るかどうかちょっとお聞きしたんですが、それぞれのバンドだったりRAYの曲で意識的にこういう曲にしようとか決めてるっていうか何か特徴はありますか?

 

 そうですね。まあ大まかな傾向としては、For Tracy Hydeはその時々で僕がやりたいことを自由にやるっていうのを一番大事にしていて。結構その時々で僕はハマっている音楽とかが全然変わってきてそれがモロに影響しやすいんですけど。

 

内山 アルバム毎に作るものというか、結構作風というか曲の雰囲気が結構違うなって。

 

 そうですよね。そこは結構自分の気持ちに嘘を付かずにその時々でやりたいことをやるっていうのを大事にしていてエイプリルブルーは逆にそこまで振り切り過ぎないというか。まあ、折角色んなバンドからメンバーが集まって一緒にやっているので、各々のバックボーンみたいなものをもっと活かせる感じである程度素に近い状態でデモを投げたりとか、音楽性の振り幅もある程度狭めてもっとわかりやすくキャッチーにしたりみたいなのは意識していますね。

  RAYに関しては、さっきもお話ししましたけど、メロンちゃんのイメージを最優先しつつ、ある程度自分の作家性っていうか自分の音とか言葉とかの特徴だったりをそこに落とし込んでいくというのを大事にしています。

 

内山 めちゃくちゃすぐ分かります、管さんが作った曲って。

 

 本当ですか?よかった。

 

琴山 曲を作ること自体すごいことだなと私は思っているんですが、さらにそれを「この曲はこれ」って分けるってすごい異次元の話なんですが。

 

 いや、そうなのかなぁ。恐縮です。

■作詞の源泉となるものについて

内山 先ほども私は管さんの使う日本語が美しいなっていうお話をしていたんですけど、その語彙とかフレーズとかどのように言葉を生み出して歌詞を考えているのかなっていうのがすごい気になっているんですけど、ルーティーンじゃないですけど何か歌詞を作る時の癖みたいなものってありますか?

 

 癖……そんなに無いかもしれなくて、読書量とかも正直そんなに多い方でもなくってあんまり本を読まないし。どうやって歌詞を書いていくかっていうと普段思い浮かんだ言葉とか結構こまめに携帯だったり手帳だったりPCだったり、色んなところにメモで書き散らかしていてそれらを寄せ集めたりとかはしてるかな。

 その時々で流行っている曲とか自分が好きな曲とかの歌詞を読んだりとかはめちゃめちゃしていて作詞で行き詰まると、とりあえず好きなバンドの歌詞を片っ端からネットで読むみたいなことをしたりしますね。

 

内山 そこからちょっとかいつまんだりとかするんですか?

 

 正直していますね(笑)。

 

内山 でもそれがちゃんと管さんの音楽に昇華してるっていうか、世界観にバチッとハマってるので、それは管さんのものだなって思いますね。

 

 結局、何をどう使うかとかを選んでいるのは自分なので、ある程度自分のフィルターは通ってるのでそういうところなのかなと思いますね。

 

内山 本当に曲の世界観もそうなんですけど「Fading Lights」が特に自分は勝手に運命を感じていて、Aメロに「結」とか「愛」とかが入ってるんで自分かな?と思って気に入ってる歌詞なんですけど、あの歌詞はどうやって思い浮かびましたか?

 

 「Fading Lights」は、Twitterとかでもお話ししてるんですけれども、そもそも英語で歌詞を書いていてそれを日本語で直した状態なので、あの日本語の状態はそもそも想定をしていなかったというか。作詞をするときに何か意識したこととかあったかな……。

 

内山 意識せずにあの言葉たちが生まれてるってもうすごい事実ですね。

 

 あんまり深く何かを考えて書いたとかはないかもしれないですね。

 

内山 前にもソロライブでご一緒した時に本をあんまり読まないって聞いて、どこで言葉を吸収して生み出してるのが本当に天性のものっていうことなんですかね。

 

 でも高校時代とかは流石に小説とか多少は読んでいたり。あと詩や短歌が好きで、例えば吉田一穂っていう明治か大正ぐらいの人だと思うんですけど、その人の詩がすごく好きで読んだりとかしてたので、そういう所の影響はあるのかもしれないですね。あとはtwitterは一日中見てるので。

 

内山 大体スクロールすると管さんのツイートがあって「あ、いらっしゃる」って(笑)。

 

 結構twitterとか見てるとやっぱり短歌を作ってる人とか日常生活の話をしている人とか、色んなツイートがバズって流れてくるのでタダでめちゃめちゃいい文章を読めるみたいなことは多いですね。

 

内山 140字っていう制限がある中でどう表現するかっていうのも結構人それぞれだから。

 

 そうなんですよね。

 

琴山 管さんはtwitterとか他の方の歌詞を見て、その言葉そのものを吸収されているような感じがしたんですが、他の媒体とか歌詞や言葉以外に影響されて浮かんでくる言葉とかはありますか?

 

 そうですね。映画とかは最近あんまり観れてはいないんですけれど元々好きで観るようにはしていたので映画とかはインスピレーションの元になることが多い気がしますね。あとは写真にハマっていたので、一時期は写真に関する言葉とか自分が好きな写真から連想したイメージとかを歌詞に落とし込んだりとかはすることが多かったような気がしますね。

 

琴山 ありがとうございます。先ほど手帳だったり携帯だったりパソコンだったりに気になる言葉をメモしていくっておっしゃってたんですけど、それは作るときに「ここどうしよう」と思った時に色んなところから掘った方が楽しいから分散させるんですか?

 

 いや、単純に割と歌詞を書くときとか寄せ集めっぽく思い浮かんだところから書いていってあとで「穴が空いて困るな」みたいなことが多くて。そもそも歌詞を書く前提であんまりものを考えていないので、普段その時々で浮かんだこととかを適当に書き散らかしているとどうしてもあちこちに分散してしまって。その時々で手元にあるツールによって、とりあえず手元にあるものにバーッと書くしかないので。そういう感じで本当に無作為に散らばっていて、それを「ここの穴が埋まらないけどどうしよう」ってなった時に発掘してみてハマるものを入れていったりしていくみたいな感覚ですかね。

 

琴山 分散させたほうがなんか「こっちにはなかったけどあっちの二つにはあるかもしれない」みたいな。

 

 でも実際そういう楽しみはありますね。Twitterの下書きを開いたらこんな言葉があったとか。

 

内山 下書き宝庫そうですね、宝の山みたいな。

 

 一回全部消えたんで、そこからtwitterにはいれないようにしてるんですけど。

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■シューゲイザー一筋、だけど音質へのこだわりは無い

琴山 管さんが初めて曲を制作されたのは何歳ごろですか?

 

 そうですね。Garage bandというソフトがあって、元々ループの素材が大量に入っていてそれを組み合わせることで曲が作れたりっていうのがあって、そういう感じでループを使って遊んだりとかは中学ぐらいからやってるんですけれど、今みたいにギターと歌がある曲をつくり始めたのは17歳ぐらいの時ですかね。

 

琴山 やっぱり今でもその17歳の頃に作った初めての曲って思い入れ深いですか?

 

 全然ないです。僕は作ったものの質でしか見てないので正直「この曲当時出したけど、今もう俺聞けないな」みたいなのとか全然ありますね。割と新しい物のほうが好きだし古い作品とかになればなるほど、だんだん聞けないってなりがちですね。なので最初に作ったものとか、全然思い入れがないどころか手元にあるかどうか結構怪しいです。

 

内山 今はシューゲイザーっていうジャンルだと思うんですけど、以前はどんな感じの楽曲を作っていたんですか?

 

 いや、これ我ながら凄いことだと思うんですけど、一貫してシューゲイズをやってます。元々僕は全然ギターをやってなくって。それがSUPERCARとかRideとか演奏がシンプルなので、こういう感じだったらギター弾いて曲作るとか出来るのかもしれないって思ってやり始めたのがきっかけだったので。

 

内山 演奏シンプルなんですか?

 

 結構コードだけとかアルペジオだけとか単音だけとか多いので、そんなに演奏が難しくないんですよね。

 

内山 何かシューゲイザーってエフェクターがいっぱいあったりとか音質に特にこだわらなくちゃいけないジャンルだと思うんですけど、そういう音の浮遊感とか夢心地なエフェクトとかの調整に目覚めたのはどの時期なんですか?

 

 変な話、目覚めたことないなあって感じですね。正直、音作りに対するこだわりが多分同じジャンルのミュージシャンの中でぶっちぎりで低い自信があるっていうか結構機材オタクみたいな人多いじゃないですか。

 

内山 大荷物で何個も何個も足元に置いて、みたいな。

 

 めちゃめちゃ高い聞いたこともないメーカーの聞いたこともないエフェクターが入ってるとか多いと思うんですけど。そういうところに全然興味がないんですよね、未だに。

 

内山 でも足元を見るっていうシューゲイズっていう言葉があるぐらいだから本当何個もエフェクター使ってたり持ったりするのかなっていうイメージなんですけど、エフェクターの数自体もそんなお持ちではないですか?

 

 数は多いんですけど、質にこだわってないというか手軽に手に入る安いものでまかなっていることが多くて、数が多いのは単純に1つの機能とか1つの音につき1台ずつっていう感じでいれていくと数が多くなっていくだけなのであんまりこだわった結果そうなっているとかではないと思いますね。

 

内山 強いて言うなら楽曲で歪み加減というかドリーミーさにこだわったかなっていう曲ありますか?

 

 「Fading Lights」ですかね。正直、結構RAYの楽曲に関しては自分のエフェクターとかを使わない方が良い音になることが多くて、パソコンで音を作って完結させちゃうことも多いんですけど、「Fading Lights」だけは自分のエフェクターをちゃんと使って、ちゃんとシューゲイズっぽい音にしたいなと思って作りましたね。

 

内山 ギター弾きのまのちゃんが知りたがっていたんですけど、おすすめのエフェクターがあれば教えてください。あんまりこだわってないって言ってたところでアレなんですけど(笑)。

 

 元々そんなにエフェクターに興味がないので、ちょっと薦めるのもアレなんですけど強いて言えばリバーブだけは本当に高ければ高いほど良い音がするので、僕はstrymonのblueSky reverberatorっていう3万とか4万円ぐらいするリバーブをいれてるんですけれど、結構周りでも使ってる人が多くて本当に透明感のあるいい音がするリバーブなのでおすすめですね。

 

内山 逆にどういう理由でこのエフェクターにしようとかっていうのを選んでますか?

 

 理由とかはないですね。この音が必要だから「とりあえずその音が出るエフェクターで一番安いやつ買っとくか」みたいな。

 

琴山 エフェクターに対してはこだわりはないけどギターには?

 

 無いんですよそれが。ギターっていう存在は好きなんですよ。ギターの見た目とかギタリストっていう存在とか好きなんですけど、楽器としてのギターに対する思い入れが正直あんまりないっていうか、弾きやすいから弾いてるだけで。子供の頃、ピアノを習っていてあんまり上手くならなくて嫌になったんでやめたんですけど。もしピアノがめちゃめちゃ上手かったら、普通に今ピアノを弾いてるだろうな、ぐらいの感じですね。

 

琴山 自分に合ったからやっているんだっていう感じ?

 

 そうですね。ただ、まあ。今メインで使っているRickenbackerの12弦ギターがあるんですけれども、あれは割と好きなミュージシャンで使っている人が多いっていう理由が明確にあって、自分もその音が好きだから買ったっていう点では比較的思い入れがあると言えばあるのかもしれないですね。

 

内山 エフェクターとギターに対してのこだわりと制作を通して楽曲に対するこだわりとのバランス感覚がすごい絶妙で面白かったです。

 

 まあ、極論音が出ればいいですかね。っていうか頑張れば多分何を使ってもいい感じになる人はできると思うので、僕はできてるかわかんないですけど。

 

内山 出来てます。

 

 あ、本当ですか。

 

内山 今後ともRAYに素敵な曲をぜひよろしくお願いします。

 

 ぜひぜひ今後とも良しなにお願いいたします。

 

琴山 本日は楽曲制作者の管さんにインタビューさせて頂きました。ありがとうございました。

 

 ありがとうございました。

今回のメンバーインタビューでは、管がRAY楽曲制作時の意識や自身のバンド楽曲との切り分け、そのドリーミーな世界観がどのように生み出されているかについて語った。運営インタビューでは、明確な感性の軸を持ちながらも雑食的で多接続的で、自身のバンド、そしてRAYに限らず多くの音楽表現・活動を展開している管の、過去、現在、未来に迫った。

 

Special Interview 楽曲制作者 管梓さん 〜運営インタビュー編〜

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