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Special Interview
照明 エンドウレイさん
運営インタビュー編

対バンでは反射的に、ワンマンライブでは楽曲世界を読み込んで、目に見える光・色という視覚表現に落とし込んでいく照明。RAY 4thワンマン「PRISM」で照明をオペーレーションしていただいたエンドウレイさんに、RAY運営がインタビューを行った。「仕込み」「打ち込み」の内実、照明にまつわるコミュニケーション、舞台表現における照明の位置付けについて伺っていく。

■照明という仕事を選んだ理由

運営(コンセプト等担当・古村) 運営の古村です。よろしくお願いします。

 

エンドウレイ(以下エンドウ) よろしくお願いします。

 

運営 メンバーインタビュー面白かったです。照明さんのお仕事について、アイドルファンの方からはなかなか見えない部分も多いと思うんですが、結構具体的に話していただいて、とても楽しく聞かせていただきました。

 

エンドウ ありがとうございます。

 

運営 照明という仕事に就いた経緯もお話しされていたんですけど、それに関連して、いくつか深掘りしたいことがありまして。照明というお仕事自体、ライブハウスのアルバイトからみたいなルートが多いんだという話をされていました。非正規的なルートというか、専門学校からと言うよりは、そういうアルバイトからみたいな出身の方が業界には多いんですかね?

 

エンドウ そうですね。地方のライブハウスではめちゃめちゃ多いです。やっぱり東京とか大阪とかだと、大きいライブやフェスに憧れて専門学校に行って、照明を勉強して大手の会社に就職するっていうルートもあります。でも地方や田舎のライブハウスには、そこに遊びに行ったりとかそこに出演していたバンドマン出身者が意外といて。そういうバンドマン出身者とかが、地方のちっちゃい小箱(こばこ)と呼ばれるライブハウスの照明とか音響とかをやり始めてっていうルートも、一定数絶対的にいますね。

 

運営 エンドウさんのご出身ってどちらなんですか?

 

エンドウ 私は兵庫県の神戸市です。

 

運営 僕の中では神戸って結構都会的なイメージですけど、そういう所でもそういったルートがそこそこ多い?

 

エンドウ 結構多いですね。

 

運営 東京に出てくることになったのは、どういうタイミングとか理由があったんですか?

 

エンドウ 高校を卒業するときに大阪の芸術系の大学に一回受かってまして、受かってたんですけど、実家から通えちゃうっていうことが分かってしまって(笑)。

 

運営 なるほど(笑)。

 

エンドウ どうしても実家を出たくて。実家が嫌だったというわけじゃないんですけど、実家を出て一人暮らしをしたくて。で、「大阪って通えちゃうよな」ということに気付いてしまって、「東京行こう!」と思い立って、結構無理やり東京に(笑)。

 

運営 受かったのを蹴って(笑)。

 

エンドウ 受かってたのを蹴って、東京の専門学校を受けました。

 

運営 それから音響の専門学校に通い、でも実際の現場では音響よりも照明の方をやることが多くて、自分には照明の方が合っているのかなと思ったというお話が先ほどありました。エンドウさんが考える、音響に向いている人間と照明に向いている人間みたいなものが、感じとしてあったりします?

 

エンドウ ぶっちゃけ、音響って耳で聞いてやるものじゃないですか。あれがもう、「何が正解なんだろう?」みたいな。照明より余計にそう思っちゃって。ちょっと言い方は難しいんですけど、照明の方がパッて見て分かりやすく自分が気持ち良くできるというか、そういう所から照明の方が良いなって私は思っちゃいました。

 

運営 視覚的に、鉤括弧付きだけど「分かりやすい」というか。それで照明をフリーランスでやられることになった。

■鉤括弧付きの「お師匠さん」

運営 実は元々「照明のお師匠さんはいますか?」っていう質問を用意していまして。メンバーインタビューでは「師匠って程じゃないんですけど」と表現されていましたが、年上の照明さんとの出会いがあったとおっしゃっていました。どういった関係になるのでしょうか?

 

エンドウ 私の中で、照明のフリーランスとして大きい現場における照明の仕事の動きとか、仕事内容を勉強できたのはその人のおかげなんですけど、今もめちゃめちゃ一緒に仕事をしていて、その人からしたら「先輩とかじゃないから俺」みたいな感じの人で。

 

運営 頑なな否定がある(笑)。

 

エンドウ 一緒に仕事をしている仲間でしょ、みたいな。そういう感じの人なので、結局その人から育ってはいるけど、師匠って呼ばれるのは絶対嫌だろうし、先輩って呼ばれるのも絶対嫌だろうし。何と言えば、みたいな方なんです。

 

運営 そういった鉤括弧付き「お師匠さん」の下で、実地体験的に仕込み周りとかを学ばれていたという感じですかね?

 

エンドウ あれ、なんかおかしくなってきた。その人は何も教えてくれない人で、「勝手に育てよ」タイプでした。

 

運営 なるほど。

 

エンドウ 「勝手に育ってくれたら嬉しいな」タイプで、それで勝手に育った私と、もう一人がいて。もう一人の人とは、「よくあの人の下でこんなに成長したね」っていう話を最近よくしてます(笑)。

 

運営 結構面白い関係ですね(笑)。

 

エンドウ これを見られたらバレる(笑)。

 

運営 バレますね(笑)。

■芝居照明の特殊性

運営 専門学校を卒業後4〜5年照明をされているということでしたが、アイドルライブ以外の照明、例えばバンドとか、あとは演劇とか、そういったものも普段からされているんですかね?

 

エンドウ 芝居は1回しかやったことなくて、その1回で芝居は私に合わないなとか思っちゃって。そこからは、芝居系の照明さんですごく仲の良い方がいるので、私にもし芝居の案件が来ても、その子に流すようにしてて(笑)。バンドの方は、私は元々ずっとバンドの照明はやっていたので、担当しているバンドもいまして、今でもずっとやっていますね。

 

運営 芝居が合わないと思ったのは、それこそ台本で照明が完全に決められちゃっているからみたいな?

 

エンドウ 芝居って間が大事らしくて。

 

運営 大事そう。

 

エンドウ そう、間っていうのが本当に分からなくて。私が芝居の現場に行ったのもその一回だけで、もちろん初めてだったので芝居照明の人に手伝ってもらってやったんですけど。例えば暗転の秒数だとかが秒数で決められているんじゃなくて、「このくらい」みたいな、「間」で消してください」みたいなのがあって。それが本当に分からなくて、私の中で。

     「じゃあ次の展開とかもあるからこのぐらいの長さなのかな」って思ったら、「いや、もうちょっと引っ張っても大丈夫です」みたいなのがあったりして。多分、結構慣れもあるんでしょうけど、私の中で分からないっていう部分が多すぎて、私はライブ一本でもいいんじゃないかなっていう気持ちになって。

 

運営 芝居照明とライブ照明は分かれているものなんですか?

 

エンドウ 分かれてますね。どっちもバリバリやるっていう方は確かに少ないって思います。芝居照明の子も「ライブ照明は絶対にできない」って言ってるので。

 

運営 であれば、本当に回路が違うんでしょうね。

 

エンドウ そうですね。

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■対バン照明の面白さは「知らない曲でどれだけキメを取れるか」

運営 アイドル照明ではワンマンもやるし、対バンもやるしで。対バンについては、事前の音源共有がないパターンも結構あると思っていて、メンバーインタビューでは1音目で修正することもあるんだといったお話もありました。そういった完全にアドリブ感が強い対バンと、事前に楽曲の共有があって、しっかりイメージを膨らませて、みたいなワンマンでは、感覚や楽しさはどう違うものなんでしょうか?「どっちがやりたい」というのは答えにくいと思うんですけど、テンションの違いを語っていただけたらなと。

 

エンドウ ワンマンはやっぱり作り込むことが多いので、それを考えるのはめちゃめちゃ大変なんですけど、やっぱり楽しいなって思うし、「この曲はここでこういう表現したいなあ、次はこの曲だし」みたいなことを自分で考えるのは、めちゃめちゃ好きなので楽しみです。

     一方、対バンでそもそも音源共有がないケースでは、いかに知らない曲で、どれだけキメを取れる(注:目立たせたい所でしっかり照明演出ができる)かみたいな。ちょっとゲーム感覚っていったら失礼ですけど、自分の中のプライドというか、絶対全曲キメを取ってやるみたいな。めちゃめちゃ集中して、「ちょっとマイクを持ち始めたからこっちに来るかな?」とか、そういうのを集中して見ているのも楽しいなと。

 

運営 完全に別の楽しみで。

 

エンドウ そうですね。楽しみ方が別であるんで、どっちのお仕事も楽しいなあって。

 

運営 事前の楽曲音源共有がなくて、もしくは事前共有があるんだけど、たくさんのバンドさんやアイドルさんがいて1個1個目を通している時間があんまりないみたいな場合とかって、照明作りにおけるルーチンみたいなのがあるのかなと思って。つまり「こういう系の曲はもうこういうセット」みたいなのが、身体的にあるんじゃないかなって想像するんですけど、どんな感じでしょう?

 

エンドウ 完全に慣れで勝手に体が動いている感じなんですけど、例えば曲が終わって暗転からMC明かりにするとかも、頭で考えているんじゃなくて結構無意識で。MCとか、曲間の曲振りをするまでとかの間にセトリに目を通して照明要望に目を通してっていう、体を勝手に動かすことを習得することが、アイドル長尺対バンの第一歩みたいなところがありますね。

 

運営 例えば曲が始まって、「こういうしっとりした曲であれば、こういう明かりの感じ」みたいなテンプレが、最初から用意されているんですかね?どれぐらいまで言うなれば「テンプレ」的なもので、どれくらいリアルタイム的なものなのか。

 

エンドウ 初めましてのアイドルさんだったりとか、知らない曲がドンッてなると、とりあえず止まっている明かり、バーっとステージを照らしていて動いていない明かりを出しておけば何とかなるという精神が正直あって。対バンの時の明かりの並び、具体的にはフェーダーが10本あるんですけど、10本ある中で左から止まっている明かり、動いている明かりみたいな感じで並びが絶対的に決まっていて、その中でとりあえず一番左のフェーダーを上げておけば次はなんとか対応ができると思っているので、それを上げてから考えるっていう時もありますね。

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■対バンにおける照明要望とワンマンにおける照明要望

運営 僕は運営内の立ち位置的にあんまり現場に行かないんですけど、たまに行ってセトリ表を提出することがあります。その際、普通の対バンでは照明要望が本当に1曲につき1行とかなんですよね。「青っぽく」とか「激しい感じで」、みたいに。

   ただ、以前とあるアイドルグループさんが提出しているセットリストを偶然見ることがあって、そしたら本当にすごくて。ライブハウスに備え付けの要望用紙じゃなくて、専用の紙なんですよ。僕たちがその場で手で書いているところが、最初からもう事前にPCで打ち込まれてて、曲のセクションごとに要望がバーっと書かれてて。まず最初に衝撃を受けて、同時に対バンでもそこまで照明を演出として考えていることに尊敬の念を感じたんですけど、そういったものが提出される頻度って基本少ないですよね?

 

エンドウ そうですね。

 

運営 紙にバーッと書かれていたら大変だというお話がメンバーインタビューでありましたが、例えばライブハウスに備え付けの紙があって、1曲ごとに2cm×10cmくらいの要望を書く欄があると思うんですけど、この欄にギッシリ書かれるぐらいの内容量なら、(そこまで細かすぎるわけでもないので)全然対応できるかなっていう感じですか?

 

エンドウ その紙で全曲についてギッシリ書かれていたら「読めない」って思っちゃいますね(笑)。めちゃくちゃ細かい要望がないのであれば、「何々っぽく」とかそういう書き方の方が対バンとかではめちゃめちゃ嬉しくて、細かく来るのであれば、1枚のA4に1曲が良いですね。

 

運営 ちょっと参考にします。RAYもワンマンの演出シートは字が小さいので(笑)。

   この後はそんなワンマンのお話をしたくて、少しだけワンマンにおける照明さんとのやり取りを僕の方からお話しします。基本的にはまず、先ほどメンバーインタビューでもお話をされていた制作と呼ばれる方が入って照明さんをアサインしてくれることが多い。ただ今回とかは、運営の方から「エンドウさんがいいです」というお願いを田村さん(注:4thワンマン「works」の制作)にしているので、実質間接的にお誘いしている感じだとは思うんですけれども。

   その後、演出のLINEグループに照明さんも参加していただいて適宜演出上のやり取りをして、本番前には1〜2回打ち合わせがあったりします。最後に、当日リハで準備していただいて本番という流れですね。

   お尋ねしたいのは、このワンマンまでのやり取りで、例えば対バンだったら本当に1曲1行で終わるような照明要望が、ワンマンだとみんな何かをしたがるので(笑)、結構どのアイドルグループさんも照明への要望をいろいろ出されるもんなんですかね?

 

エンドウ 正直、女の子のアイドルグループさんは比率的にはそこまで担当していなくて、私が担当するのはメンズアイドルグループがめちゃめちゃ多いんですよ。メンズグループはワンマンでも照明要望をほぼほぼ出してこないことが多くて、プロデューサーという立ち位置の方がいらっしゃる時は要望が来るんですけど、やっぱり結構抽象的というか、ふわっとしていて。あ、一人だけめちゃくちゃ細かい人がいますけど(笑)、基本的には私が担当している方は結構「お任せで」という方が多くて。ただ「こういう雰囲気の照明は欲しいです」とか、「舞台がこういう感じにセット組まれているから、こうやってください」といった要望はあったりします。

■照明とプロジェクションの関係性

運営 前からちょっと気になっているのが、プロジェクションってあるじゃないですか。プロジェクションがLED(注:ビジョン(=壁)それ自体が発光する)なのか、それともプロジェクターから光でスクリーンに投影するのかでも話がちょっと違うと思うんですけど、大きなライブで視覚表現の中心となる照明とプロジェクションは、どのタイミングで相互の調整が行われるんですかね?

 

エンドウ 元々画が決まっているものを出す場合、その曲中に出す画が、歌詞が載ってて、それをそのまま映像として流すような場合は結構事前に欲しくて。その画を見て、それはもう出来上がっているものなので、「映像がこの曲のこういうところでこの色を使っているなら、その邪魔をしない色を出そう」と、「それならば」の考え方が出来るので。だから、最初から決まっている画については早めに欲しくて。

     VJの場合は、VJさんとこっち(照明)の間でやり取りをすることが多いんですけど、運営さんからのVJさん側に対する要望として「ここでこういうのを出してください」っていうのが特にない場合は、VJさんも照明と同じような感覚で。結構多いパターンは、こっち(照明)がキューシート(Cueシート。下図参照)というのを基本的に書いているんですよ。Aメロ何拍はこういう照明、Bメロ何拍はこう、キメは何拍みたいなのを全部書いているシートがあって、そのキューシートをVJさんに渡して、それに合わせてもらうっていうパターンが多いです。今回(5/8の「works」)のVJさんとはよくそうやってやり取りはしてるので。

運営 なるほど。運営から見えないところで綿密なやり取りを。当日じゃなくてもう事前に?

 

エンドウ VJさんは結構当日でもやってくれます(笑)。

 

運営 僕は演出を考えるときに、二律背反の気持ちがあって。僕は運営はみんな照明が好きだと勝手に思っているんですが(笑)、特に光をプロジェクターで投影する形のプロジェクションをすると、照明が関われる余地が減るんじゃないかみたいな感覚があって。だからVJにせよ事前に作成された映像にせよプロジェクションを入れすぎると、それでステージが明るくなっちゃうから、照明による表現がしにくくなって逆に味気ないんじゃないかなと結構悩むことがあります。ここら辺って逆に照明さん側から、「そういうプロジェクションとの関係っていうのはこう考えてみたらいいんじゃない?」みたいアドバイスとかってあったりしますか?

 

エンドウ VJであれば、そのVJさんと照明とのなんとなくの阿吽の呼吸というか、そういうのがあれば難しく思うことがあんまりなくて。特に今回の「works」で一緒の佐伯(さいき)さんとは昔から結構仲が良くて。実は音響の専門学校の同級生で(笑)。

 

運営 両方とも今音響じゃない(笑)。めちゃくちゃ面白いですね(笑)。

 

エンドウ 同じクラスの同級生で、昔からの知り合いというのもあって、私からしたらすごくやりやすくて。なので「じゃあ照明に合わせよう」という部分も多かったり、意見をお互い出しやすいというのがあって、相手が相手なのでVJとしては思う所は全然ないです。

     でも決まっている映像を出すとなると、特にLEDビジョンの場合は映像に白の比率が多かったりすると照明がすべて消えるっていう現象が起きちゃうので、そういった時には「はあぁ」ってなりますね(笑)。

 

運営 ちょっとしょんぼり?

 

エンドウ ちょっとしょんぼりします。

 

運営 やっぱりそうですよね(笑)。

 

エンドウ それが事前に分かっていれば、「ここは映像がみえる場所!」みたいな感じで割り切った感じにはなれるんですけど、当日初めて見るということがやっぱりあるものでして。日によっては。

 

運営 なる早で「works」も映像を(お渡しします)……直前になるかもですが……!

 

エンドウ いただけるっていうだけでも、心持ちというか心境というのはやはり変わるので(笑)。

 

運営 はい。なる早でお渡しします(笑)。

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■「仕込み」と「打ち込み」の具体的な内容

運営 そんな感じで打ち合わせなどなどがあり、当日を迎えました。本番当日はまず「仕込み」が行われるのですが、「仕込み」という言葉で片付けられているその内実をちょっと読者の方にも知ってもらいたいなと思っていまして。リハの一歩前、仕込みの段階というのはどんなことをされてるんですか?

 

エンドウ 会場によって本当にまちまちなんですけど、今年1月に開催された「PRISM」(注:2022/1/23に行われたRAY 4thワンマン)の時はLIQUIDROOMで、おそらく照明が一番に入りして、イントレという梯子というかローリングタワーみたいなものに乗って、舞台の上に吊ってあるいわゆるサスと呼ばれる灯体に色(のついたフィルター)を入れるっていう作業を行なっていきました。プラス、その日はムービングだったりLEDを持ってきていたので、元々LIQUIDROOMに吊ってあった灯体を外して、そこに持ってきたものを吊り込み、電源をとって信号線と呼ばれる制御をするためのケーブルを這わせてという、そういうのを仕込む作業から始めました。

     5/8の会場のセレネ(注:白金高輪SELENE b2)さんの場合は、元々会場に照明が仕込まれている場所なので、もう電源も取ってあって、信号線というケーブルも這わせてあって、あとは卓(照明卓)を組むだけというのが基本状態。持ち込みがない限りはそういう状態なので、セレネさんでは卓を組んで、持ち込みがある場合はその持ち込みの機材を組み上げて、そこからは明かり作りというのが仕込み時間になりますね。

 

運営 明かり作りに際して、「打ち込み」という表現があるじゃないですか。この打ち込みといういうのはどういうものなんですかね?

 

エンドウ ワンマンの場合、M1の頭から始まってイントロAメロBメロというセクションごとに明かりを作り分けて先ほどお話ししたキューシートを書いているんですけど、1個1個セクションごとの頭のキューを作って、それをフェーダーに入れ込む作業を打ち込みと呼んでいます。フェーダーに入れ込んだら、あとはフェーダーを上げれば作った明かりがそのまま出るよっていうものなんです。それをキューシートに書いた順番通りにどんどんどんどん打ち込んでいって、あとは本番は4小節だったら4小節ごとにフェーダーを上げ替えるだけに出来ます。本番のラクのために頑張るという(笑)。

 

運営 もうかなりの数になりますよね?

 

エンドウ かなりの数ですね。

 

運営 例えば1曲で10とかあるんですか?10もない?

 

エンドウ 1曲でフェーダーを上げる数で言ったら少なくて30ですね。

 

運営 (数が多くて)ヤバくないですか?

   読者向けに説明すると、リハで一番時間が掛かっちゃうのはやっぱり照明さんの準備時間で、その時間をしっかり取ってそれを中心にリハ全体のタイムスケジュールを決めることが多いんですけれども、でも今聞いて「そりゃ掛かるな」と(笑)。だって、それ(30)掛ける曲数分ですもんね。

 

エンドウ そうですね。

 

運営 さっき言ったキューの数が、例えば10曲なら300近く行くってことですよね?

 

エンドウ そうです。

 

運営 それは……無理では(笑)?

 

エンドウ なんとなくの基本時間として、1曲の長さとかキューの数にもよるんですけど、大体1曲30分から45分ぐらいで打ち込みが終わるものではあるんですが、単純計算でリハの時間だけでは絶対足りないので、事前準備だったりとかで、なんとか本番までには終わらすというか頑張るっていう作業ですね。「頑張る」です、本当に(笑)。

 

運営 結構、例えば音響リハの最中も照明さんは打ち込みを続けているみたいなことも多いですもんね。逆に「ここは照明演出が極めて関わるから照明さんも一緒にリハを」みたいな感じで。なるほど、それは膨大な作業ですね。

 

エンドウ そうですね。ただ大量に打ち込むという作業に慣れてはいるので、打ち込んでいるところを横で見ていたら本当に気持ち悪い動きをしていると思います(笑)。カチカチカチカチという音が鳴り響くっていう感じになりますね。

 

運営 1つのワンマンの中にそれこそ数百のキューがあるという状態になると、「ああ、これさっきと似たような照明だな」みたいに思っちゃうことはないんですか?

 

エンドウ 1つのワンマンに30曲とかあると……ありますね(笑)。あるんですけど、正直、1曲目と13曲目の曲は多分覚えてないだろうというのがあって、まだ大丈夫、とか(笑)。

 

運営 先ほどの対バンの話であればリアルタイムの反射が重要だと思うんですけど、今のお話のように打ち込みがしっかり出来る状態だと曲ごとの解釈とか世界観を1個1個置いていく感じになると思うんです。この曲や歌詞のイメージに対してはこんな照明がいいみたいな、教科書というかインスピレーションの元というか、そういうものは何かあるんですかね?完全にもう感覚なのか。

 

エンドウ 私は結構完全に感覚で。当日の時間に余裕が出るので事前に打ち込むのは基本なんですけど、当日現場に着いて曲を聴きながら打ち込んで、見ながら打ち込んでの方が「この曲、この方がいいじゃん」みたいな感じが結局あるんです。やっぱりその場で、その曲の雰囲気を感じて感覚的に打ち込む明かりの方が、自分のなかでは好きだなと思いますね。

 

運営 完全に打ち込んじゃった後、本番中は基本的にフェーダーを上げ下げしているだけになる?

 

エンドウ しているだけになります。

 

運営 本当に苦労が対バンの時とは真逆ですね(笑)。

■「運営の中に照明に詳しい人がいない」問題

運営 ここからちょっとコミュニケーションの話というか、先ほどメンバーの甲斐(莉乃)も言っていたんですけど、要望をどう言語化して伝えるかって結構難しいという話をしたくて。例えば先ほど「サス」という言葉が出てきましたけど、照明機材の種類とか、役割とかの単語をそもそもあんまり運営陣が知らなかったりするんですよね。

   例えばウチの楽曲担当のみきれちゃんは僕から見るとめちゃくちゃ音楽に詳しくて、音響の人とかサウンドエンジニアの人とかと、極めて専門的な用語で会話しているんですよね。ただ照明となると、運営の中に誰も専門的な単語を使える人がいないことが多いと思っていて、そこら辺に照明さん側がもやもやしないかなって思っているんですけど(笑)。

 

エンドウ RAYさんがというわけじゃないんですけど、たまにあるもやもやポイントは、「ピンで」って要望を出されるじゃないですか。「そこをピンで抜いてください」って言われるとき、それが小箱だった場合……「ピンはない」、って(笑)。

 

運営 そうですね(笑)。

 

エンドウ なので、「センターに立つんでセンターを目立たせてください」とかだったら「こっちで何とかします」なんですけど、「ピンで抜いてください」と言われると、「ピンはない」と(笑)。そういう場合は「センターに立って絶対そこから動かないのであれば大丈夫です」という感じになっちゃうんですけど、ピンスポットは人が動かしているので、それがある会場ない会場がやっぱりあったりとか。

   「サスで」という要望もあるんですけど、サスというのも言葉の使い方が結構難しくて。「サスで抜いてください」って言われた時、「そこでサスと言うのもおかしくないかな」と思うことがあったりとか、確かにちょっと専門的な用語は難しいなとは思いますね。

 

運営 僕もLINEグループでリプライを送るときに、「この単語合ってるのかな?」とか思いながら送っているところもあって(笑)。

 

エンドウ 照明の単語に関しては、照明さん以外の全員が全員、難しいと思ってるだろうなって(笑)。

 

運営 だから要望をどう伝えればいいのかみたいな話があって、単語の難しさも相まって、結局スーパー印象論で「なんか全体をほわっと照らして」みたいな言葉遣いになってしまって。そんな伝え方で大丈夫ですか、という。

 

エンドウ そうですね。逆に本当に「何分何秒はこうしてください」みたいなのがない限りは、「ほわっと」と書いているのに赤と白バキバキみたいな感じでやる人はいないと思うので、そういう指示の方が伝わる可能性は高いかもしれないですね。

 

運営 運営がすごい照明の単語を知ってて、いろいろ言ってきたら逆に生意気ですか(笑)?

 

エンドウ それが本当の意味で言っているのかが分からなくなっちゃっう時があるんですよ。先ほどの「サス」で言えば、例えば「サスで取ってください」と言われた時に、「サス」ってなんとなく真上からなんですけど、前からの光のことを言う人もいて。私たち照明の共通認識では、真上からの光をトップって言うんですよ。一方、前からの光は狙いと言います。まあピンはピンで別なんですけど。こちらの共通認識と、要望を言った人の共通認識が違うかもしれない。これは本当に合ってるのか、どっちだろうみたいな迷いが生まれることはありますね。

 

運営 実は運営は照明を学べるかという質問も用意していて、これは照明さんとのコミュニケーションのためにって文脈ですね。こんな教科書あるよみたいなこととか、照明でより良きコミュニケーションをするために運営ができることってあるのかなーっていう。

 

エンドウ 難しい(笑)。なんて言えば良いかが難しいんですけど、やっぱりその現場にある機材によって照明が出来ること、出来ないことというのが結構分かれちゃうものではあって、絶対にどこの会場でもこれが出来るというのがなかったりするんです。だから運営さん側で、「この会場にはこれがあるから、これは出来るかな?」みたいなのが分かると、(照明に)「ここの会場にはこれはないんだけど」みたいな感じで思われないっていう。

 

運営 それはでももう、最早照明(さん)ですよね(笑)。

 

エンドウ そうなんですよ。だから言い方も難しいなあと思って(笑)。

     ミニブル(注:ミニブルートライト。目潰しに使用できる)とか、目潰し(注:客席に光を向け、まばゆい場面を演出すること。またそれが可能な機材)とか、分かりやすいものだったら大丈夫だと思うんですけど……なんて言えば良いかがすごい難しいです。

 

運営 確かにちょっと、中途半端な知識量だと逆に変な誤解が生まれうるのかもしれないなと思いました。

 

エンドウ 何となく汲み取れはすると思うので。

 

運営 念押しの確認などをさせていただきます(笑)。

■「PRISM」の照明演出

運営 この箱にどれぐらいの設備があるのかといった話がちょっと出たんですけど、例えば演出に何かの機材を使うとかで、いわゆる「持ち込み」が行われることがあります。ただそもそも照明さんが、ご自身でどんなものを持っているのかが全然分からなくて。

 

エンドウ 基本的に、照明さんはその人単体ではあまり機材自体を持ってない人も多くて、私は照明卓だけ持っています。卓はどこでも使うことが多いので持っているんですけど、それ以外の機材、例えばムービングとかLED PARとかはあまり持っていなくて。それらは自分で機材をケアできる時間もそこまでないし、機材会社に借りた方が将来的にはいろいろラクなのかなっていうのがあって、私はあんまり機材は持っていません。どうしてもこれを使いたいけど、どこでも借りられないみたいなものだけは持っているんですけど。

 

運営 となると、エンドウさんの方でレンタルしたものを持ち込んでいるという感じですね。その流れでこのまま「PRISM」の話に行きたいんですけど、「PRISM」の照明演出で使用された三角形の鏡みたいなのがあって。あれはレンタルですか?

 

エンドウ レンタルですね。鉤括弧付き先輩が「PRISM」公演の数か月前にちょうど使っていて、その当日にもらっていたので、「いいのあるやん」と思って「借りるわー」と言って借りた感じですね。

 

運営 なるほど。「PRISM」についてはお手元に演出資料(下図参照)があるんですが、プリズムという単語からどんな照明にしようかと考えた時に、最終的に光を分ける「分光」と、光を反射して散らす「散乱」みたいなコンセプトが出てきました。エンドウさんにはこの分光と散乱という感じでお願いしてご対応いただいたのですが、その時の照明演出内容や思い出など、「PRISM」の照明について何かあればお伺いしたいなと。

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エンドウ 分光とか散乱とか難しい言葉がパッと出た時は、最初どうしようってなったのが正直あったんですけど、でもそのプリズムという言葉自体は照明でもよく使われていて。当日も使っていたムービングスポットでは、ほとんどの灯体でプリズムという機能がエフェクトとして使用可能なんです。灯体の中に鏡があって、それが三面になったり、八面になったり、六面になったりっていう機能があって、プリズムと聞いた時にまず最初に私はもうそれしか思い浮かばなくて。

    じゃあプリズム機能があるムービングを使おうと取りあえず思いまして、そこから話を進めて参考資料をいただいて、「散乱」だったらやっぱり反射させたいし、三角形の鏡を使ってみよう。あれに光を当てたら、どこ行くか分からないような反射の仕方もするしやってみようと。

    「分光」という話を聞いた時が一番難しくて、どうしようと結構悩んだんですが、その時に「あ、1つの灯体で2色出る灯体があるな」と思い立ち、これはちょうどいいと思って(笑)。これでやってみよう、「いける、いける、いける」みたいな(笑)。チェックして、「いける、いける、いける」みたいな感じでやっていましたね。

 

運営 でもあれ、本当にあんまり見たことがない表現が結構あって、僕はすごく良かったなと。確か撮影監督の二宮さんかな。どの曲か忘れてしまったんですが白っぽい光が多めの曲があって、意訳ですが、「撮影していて感動した、他のカメラマンも言っていた」的なことを言われていました。激褒めしていたので、今お伝えをさせていただきます(笑)。実際に僕も観ていて、コンセプトどうこうはもちろんあるけどそれは置いておいて、シンプルにすごく綺麗だなっていう感覚で、とても良かったです。

   そしてメンバーインタビューでもあった、歩くメンバーを追う照明(注)。本当にご苦労をおかけしましたという感じなのですが(笑)、ゲネが終わった後、エンドウさんとちょっとLINE上でやり取りをした時に、当日じゃないと結構分からないという話があって、そういうことはやっぱり多いんですかね?

(注:ワンマンライブ「PRISM」では各メンバーがRAYの各楽曲の歌詞の一部を朗読しつつ、ステージ上を様々な方向に同時に歩くパフォーマンス(M6.プリズム)が行われた。縦横無尽にステージ上を歩くメンバーを、スポット的な照明が追って照らし続けた。)

 

エンドウ そうですね。ゲネスタジオが本番のステージと広さを合わせているとしても、ゲネを見て考えてみるのと本番の会場で見るのでは、やっぱり奥行き感とか客席から観た感じとかが変わるんだろうなと思ったら、当日合わせた方が良いなと思ったんです。ムービングの吊り位置やメンバーの立ち位置をオフラインの卓上でやっても、それを当日修正するなら一から当日作ってしまった方が早いなと。

 

運営 今回の「works」でも、まだちょっとネタバレは出来ないんですけど、エンドウさんにいくつかこんなこと出来ないかとお伺いしていて、これも結構当日の要素が大きそうですかね?

 

エンドウ 見え方としては当日の方がアレは分かりやすいかなと思います。いっぱい光らせた時の明るさ加減とか、雰囲気的にも当日見なければの所はあると思うので。ある程度システム的なところは事前にお出しして、明るさや見た目、見栄え的な所はやっぱり当日になっちゃうのかなと思いますね。

 

運営 読者の方は当日、この会話がどんな感じになったのか、感じていただければという感じですね。

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■好きなようにやる楽しさと、相手の世界観を照明に落とし込む楽しさ

運営 今までにやった照明についての特殊な演出とか、この光景は綺麗だったとか、感慨深いもの、思い出深いものって何かあったりしますか?

 

エンドウ 仕事上でですかね?

 

運営 はい、いったんは仕事上の話として。

 

エンドウ 去年、一昨年くらいから仕事の規模感がちょっと大きくなってきていて。今までは例えば、ウェスト(注:渋谷Spotify O-WEST)とかブレイズ(注:新宿BLAZE)とかそのぐらいの規模感が多くて、大きくてもイースト(注:渋谷Spotify O-EAST)とかの規模感で。でも去年、一昨年くらいから、よく行く規模感がもう何千人キャパの所、例えばZepp(系列)だったりとか、EXシアター(注:EX THEATER ROPPONGI)だったり、ホールとかが結構増えてきて。キャパシティが上がれば上がるほどやっぱりやることは増えていくし、考えなきゃいけないことも増えていくんですけど、それが捌けるようになったんだなぁというのはあって。

     その中で、予算の上限はあるにしても、「私(エンドウ)がやりたいように表現してください。やってもらって大丈夫です」という仕事が一回あって。どうしても使ってみたい照明機材とかがあったりして、それを含めて「こんなに機材を入れていいのかな」ってくらいの機材を大量投下した日があって(笑)。それはめちゃめちゃに疲れて、その後一週間ぐらいね寝込むレベルだったんですけど、達成感と、「やっぱり明かりを完全に好きなようにやると、私はここまで楽しいんだなあ」と感じられた日がありましたね。

 

運営 良い話ですね。

 

エンドウ どうしても使いたいという機材も全然借りられる場所がなくて、よくお願いする機材会社さんがあるんですが、そこでも取り扱いがされていなくて。日本で使っている人もあんまり見たことがないレベルの機材をどうしても使いたくて、いろんな会社に「使えるところ、借りられるとか知らないですかね?」という連絡をし続けて、3つくらい間に会社を挟んで繋げてもらって、なんとか借りられたとかもあったりして。

 

運営 ご自身ですごくやりたかった照明というお話でしたが、逆にと言うのも変なんですけど、運営からの要望で「そんな変な照明の使いかたある?」みたいに驚いた演出とかってあったりします?

 

エンドウ そんなにはなくて。驚いたというのはあんまりないかな、あんまりないって言ったらアレなんですけど。相手が「これをこうしてください」と細かく指定してくることはあまりなくて、やっぱり「こういう雰囲気で」と伝えられることが多いので、驚いたというより、相手は何を求めているんだろうと汲み取る作業が大変だなっていうのは、月に3回くらい(笑)。

 

運営 多いですね(笑)。意外とコミュニケーションが難しい?

 

エンドウ やっぱりプロデューサーさんとか、演出案を作っている方の中での世界観があって、それをそのままお話しされると、「照明でこれをどう表現しようかな」というのを変換する作業というか。それはコミュニケーションが難しいと言うよりは、相手の世界観から私の世界観に変換する作業が大変だなと毎回思いますね。

 

運営 成し遂げられたら、結構達成感があるというか。

 

エンドウ めちゃめちゃあります(笑)。

■舞台表現において照明をどう位置づけるか

運営 先ほどの「運営が照明の言葉をあまり持たない」問題にも結構繋がっている話だと思って。実際演出する側になって、音としての表現と視覚的表現みたいなのを毎回ワンマンライブレベルでは考えるんですけど、後者について映像表現に逃げちゃうみたいなところがあって。例えばVJさんにお任せしたり、こっちで事前に作った映像コンテンツを映しちゃうみたいな。逃げちゃうというと語弊があるのですが、ライブパフォーマンスの世界に1個別のコンテンツを加えているだけなので考えやすいというか。

   一方、ライブパフォーマンス自体に「直接溶け込んで介入する感」は照明の方が強いと僕は思っていて、だから映像コンテンツを投影するのとは異なる照明自体による演出について、本当はもっと言葉があったらいいのに、と結構もどかしく感じていて。運営は言葉を学ぶことが出来るかみたいな話にも繋がっていたんですけど、でもどうしよう、今ちょっとプチ自分語りみたいになっちゃってるんですが(笑)。

   そこら辺、エンドウさんの方で視覚演出というものについて、「もっと照明でいろいろやってほしい」みたいなのってなんかあったりしないのかなと。今の話を反転させているんですけど。

 

エンドウ どうなんですかね(笑)、どうなんですかねというのもアレなんですけど。照明も挿絵的なテンションの時もあると言うか、照明で曲を表現すると言うと結局「ライティングショー」みたいなテンションになっちゃう感じもあって。照明でここを表現するというより照明でその表現の手助けをするというか、素舞台で何もない明かりの中でやっているよりは1.3倍ぐらいは効果があるんじゃないか、というテンションの日もやっぱりあって。

     照明でゴリ押し、という言い方も変ですが「正面からこれを表現するぞ」という曲のテンションの時があれば、「照明は挿絵程度にちょっと点いてるよ」ぐらいのお手伝いレベルで使う時もあるので。一概にも言えないという。

運営 なるほど、伝わりました。先ほど「この照明機材を使ってみたい」という思いの話があったんですけど、照明で「パフォーマンスに合わせてライトを照らす」以上のというか以外のというか、ちょっと変わった演出をしてみたいなというのはあんまりないですか?

 

エンドウ 変わった演出はあんまりなくて、ただ絶対的にやる演出というのが私の中ではあって、キメというキメを取りまくるマンなんですけど(笑)。ちょっとロック系のところだったら、キメというキメを全部取るみたいな感じがあって。ただ曲の雰囲気があるようなところだったら「この音に合わせて照明を動かす」みたいな、だんだんとサッと上がっていく音が入っているなら、それに合わせてムービングも上がっていくみたいな表現をするという。そういった、私が絶対やると決めているものはあって。

     それらをなんとなく、見栄えをちょっと変えるぐらいで、劇的にこういうのに挑戦するっていうわけじゃなくて。「ああこの機材は面白そうだから使ってみたい」はあるにしても、演出として「こういうのをやってみよう」「こういう奇抜なことをやってみよう」は私はあんまりないです。平均的に百点を取れるくらいが好きというか、平凡な人なので(笑)。

 

運営 いえいえいえ(笑)。

   以上で、用意した質問が尽きました。5月8日の「works」も、いろいろご要望があるんですけれども(笑)、ぜひ良い形に一緒に作り上げていけたらなと思います。今日はありがとうございました。

 

エンドウ ありがとうございました。

今回の運営インタビューでは、対バンとワンマンで異なる照明の楽しさ、「仕込み」「打ち込み」の内実、照明についてのコミュニケーションの難しさと世界観を明かりに落とし込む醍醐味まで伺った。メンバーインタビューではエンドウさんの照明としての強み、照明という仕事の暗記要素、アイドルライブに特徴的な照明などが語られている。未読の方はぜひお読みいただきたい。

 

Special Interview 照明 エンドウレイさん 〜メンバーインタビュー編〜

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