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Special Interview
スチール撮影 早川結希さん
メンバーインタビュー編

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アーティスト写真をはじめ、アイドルの活動に欠かせない様々な写真を撮影するスチール。スチール撮影の現場にはアイドルとカメラマンはもちろん、運営やその撮影をプロデュースするクリエイターなど、多くの人間が関わっている。今回は、これまでRAYのスチール写真を多く撮影していただいている早川結希さんにRAYメンバーがお話を伺った。多様な被写体を撮影するスチールという仕事の内容とやりがい、現場におけるコミュニケーションについて触れることができる。

■スチールの多岐に渡る仕事

甲斐莉乃(以下甲斐) 5/8に開催されるRAY 3周年ワンマンライブ「works」に向けて、RAYの活動やライブを作り上げてくださっている方々にスポットを当てインタビューを行っていきたいと思います。今回もスチール撮影していただいている早川結希さんにインタビューをさせていただきます。ありがとうございます!

 

琴山しずく(以下琴山) よろしくお願いします。

 

早川結希(以下早川) よろしくお願いします。

琴山 まず、スチールというのはどういうお仕事なのか教えていただきたいです。

 

早川 スチールは静止画っていう意味なんですけど……あ、僕がやってるスチールの仕事の話をすればいいのかな。

 

琴山 はい。よろしくお願いします。

 

早川 僕は普段はスチールメインで撮影していて。アイドルさんのアー写(注:アーティスト写真)やジャケ写(注:ジャケット写真)だったりジャンルはいろいろで、人物で言ってもアイドルさん、アーティストさん、音楽活動をしている人、タレントさんなどバリエーションがあります。そういう人たちの写真を撮る以外にも、物(ぶつ)撮りで料理とかコスメの商品撮影とか、そういうのをやったりしてます。

 

甲斐 本当にいろいろ撮影するんですね。人物も物も。外の景色とか風景とかも撮影しますか?

 

早川 景色はあんまりですね。趣味でパシャッとみたいなのはあるけど、仕事としてはあんまりないかな。

 

甲斐 そのような中で、RAYにはどうやって関わってくださっていますか?

 

早川 RAYさんとはアー写と……ライブも撮らせてもらって、あとフォトブックも撮影したかな?

 

甲斐 ライブからアー写からグッズまで幅広く撮っていただいて、ありがとうございます。

■撮影におけるコミュニケーションの重要性

琴山 仕事の難しさだったり、やりがいを教えていただきたいです。

 

早川 難しさで言うと、ジャンルで「人物撮影」と一言で言っても、「こういう風に撮ったら綺麗に撮れるよ」みたいな設定とかそういうのはあるけど、写真に写すときの雰囲気ってやっぱり人それぞれだから、細かいところは結局、目の前の人を見て、会って見て、その人から感じたものを踏まえた上で撮影するっていうことをやらないと、あんまり良い写真にならない。そういう現場でのコミュニケーション、雰囲気を掴み取るみたいなところが結構、撮影の難しさと言えるかもしれない。

 

琴山 被写体、つまり撮られている人の意見と、撮影を依頼しているスタッフさん側の意見が違うときって、どのように対処されているんですか?

 

早川 それは結構、「アイドルあるある」かもしれない。例えば化粧品メーカーから広告の撮影を依頼されたとして、それに合うモデルが呼ばれてきて撮影するとかだと、そのモデルさんの意思とかっていうよりは、基本的に化粧品メーカーの人が見せたいものを実現するために、カメラマンもモデルも力を合わせるっていうのが基本なんですけど。

   アイドルさんとかだとその当人自身が「見せたいもの」に十分なるわけで……例えばアー写で言ったら、そのアー写が結局どういうふうに使われるとか、誰に届けるためのものなのか?みたいな、ちゃんと原点に戻って最終的な目的を確認する。「なんでこの写真を撮影するんだっけ?」ってとこは考え直したりするかな。

 

甲斐 やりがいの部分だとどういうことが挙げられますか?

 

早川 技術的にな意味で言ったら、SNSとか雑誌とかを見てて「この写真どうやって撮ってんの?」みたいな写真に出会ったとき、以前はそれが理解できなかったのが、経験とかを積んでいく内にちょっとずつ撮れるようになってくる。手が届かなかったところに手が届くようになるみたいな感覚はやりがいとしてあるかなと思います。

 

甲斐 どんどん表現の幅が広がっていくのが楽しい感じでしょうか。

 

早川 そうですね。

■メンバーと運営で意識のズレがあったとき

甲斐 今スチール撮影の難しさややりがいをお聞きしたんですけど、アイドル撮影ならではの難しさはやりがいはありますか?先程もお話があったように、運営さんとメンバーと撮影してくださるスチールの方がいて、そのすり合わせというか、「どういう所に持って行きたいか」っていうところに意識のズレがあったりしたら難しいのかなと思ったんですけど。

 

早川 カメラマンの僕とかヘアメイクさんとか衣装さんとか、第三者が見たときに「もっとこうした方が可愛く見える」と思うことはたまにあって。事務所ごと、アイドルさんごとにもちろん違うんだけど、そこでガツガツ提案していい人と、そうじゃない人、つまり自分の中で「私はこういう風に見せたい」というイメージが固まっている人がいて。どこまで踏み込んでいっていいか、そこの見極めは最初にやってるかもしれないですね。

 

甲斐 空気感で結構感じ取れるものですかね?

 

早川 最初に数枚撮って、反応見たりとか。

 

甲斐 「この人は頑なそうだなあ」って最初感じたとしても、ちょっと指摘してみたら、「意外と柔らかく受け答えしてくれるな」って時もあったりしますか?

 

早川 そういうのもあるし、まだ始めたての子とかだとめちゃくちゃ緊張してて、「本当にどうしたらいいか分かんないです」みたいな子もいるし。そういう時は話しながら「もっとこうしてみる?」とか提案しながらやったりとか。

 

甲斐 さまざまなんですね。

■現場での空気作りと臨機応変な対応

琴山 他のカメラマンさんと比べたときの早川さんの強みを教えていただきたいです。

 

早川 ジャンルが広いところとかかな?映像も撮ったりして、幅広く対応できることは強みかな。あとは今、クリエイター事務所に入っていて。元々ヘアメイクをしていた人が社長をしているヘアメイク事務所にカメラマンとして所属していて、ヘアメイクがたくさん在籍してるんで、ヘアメイクの細かいこだわりとかを写真に反映させることは意識しています。

 

琴山 光とかで飛んじゃわないんですか?そういったところも早川さんの強みってところですかね?

 

早川 まあそうですね。

 

甲斐 次の質問は、今いない内山結愛ちゃんからの質問になります。撮影はいつも緊張してしまうんですけど、早川さんはたくさん褒めてくださったり、アドバイスをくださったりするので、撮影のときの空気感に安心しています。撮影現場の空気作りでは何か意識していることはありますか?

早川 まず、被写体の人以前に、前段階として自分がリラックスして撮影したいっていうのがあって。常に余裕を持っていたくて、事前に撮影のイメージをちゃんと練ってから行って、セッティングとかをスムーズにできるようにするとか、アシスタントを連れて行くとか。その上で、現場の空気作りを考えるようにしてます。自分が100%の状態になってからモデルさんと打ち解けた方が、良い写真になると思ってるので。アワアワしちゃうと、それができないまま撮影に入ってしまう。カメラマンを始めたての頃はよくやっちゃってましたね。

 

甲斐 じゃあ余裕を持って、臨機応変に対応できる部分を持つようにしていくってことですかね?

 

早川 そうですね。

 

琴山 撮影する時、現場の空気感でいろいろ変えたりするっておっしゃっていたんですが、事前に考えるときはどこまで計算して細かく考えていらっしゃるんですか?

 

早川 頭の中でイメージして反復するとかもあるし、複雑になったりすると図に書いて「こういう風にして、ここはこういう設定で」みたいな画に起こして考えることもありますね。

 

琴山 設定とかも事前に決めておくということですか?

 

早川 そうですね。あとは機材選びとか、どのレンズで撮るとか。

 

琴山 そういうふうに最初から細かく決めている時は、もうその計画で実行されることが多いですか?それも結構現場で変えたりしますか?

 

早川 めちゃくちゃ考えて行っても、現場で変わることはありますね。

 

琴山 やっぱり現場の空気感を大切にされてるんですね。

 

早川 そうですね。

■「ライブ撮影はスポーツだと思ってます」

甲斐 最後の質問になるんですが、ライブでのスチール撮影だと動く被写体を捉えることになって、かなり難しそうだなって自分は想像するんですけど。ライブ撮影で動く被写体を捉える時は、どういった工夫をなされているんですか?

 

早川 ライブ撮影は自分がやる撮影の中だと最も過酷、一番大変で(笑)。本人たちほどではないですけどめちゃくちゃ走り回ったりっていうのもあるし、カメラ2台、3台を持ってすぐ持ち替えられるようにしたり、運動量がすごいです。本当にライブって一瞬のことなんでモタモタしてらんなくて、撮り逃したら終わりだし。でもピントを速く合わせるとかって結局はカメラの性能に依存しちゃうので、カメラマンがコントロールできるのってそれ以外のところなので。だから自分がいかに動けるかが大事だなと思ってますね。ライブ撮影はスポーツだと思ってます。

 

甲斐 汗かきますか?

 

早川 汗めちゃくちゃかきます(笑)。

 

琴山 常に重りを持って走ってるっていうことですよね(笑)?

 

早川 そうそう(笑)。

 

甲斐 いろんなアーティストさんとかアイドルさんとかのライブ写真をSNSで見るんですけど、後ろから撮影している全体像とか、一人に寄っている写真とか、前列から撮った全体の切り取りとか、いろんな場所から撮られてるんですけど、あれは一人で移動して撮っていることが多いんですか?

 

早川 そうですね。ただ会場の規模によるかな。ドームとかだったらスチールだけでも何人もカメラマンいるし。

 

甲斐 たくさんお話ししてくださり、ありがとうございました。これからもRAYのスチール等々、よろしくお願いします!

 

琴山 ありがとうございました!

 

早川 ありがとうございました。

今回のメンバーインタビューでは、アイドルの撮影という特殊性が生む、現場におけるコミュニケーションの実際について伺った。被写体の個性を掴みその人にとっての「良い雰囲気」を模索して行く一方、運営やクリエイターの要望とも調整を行っていく。運営インタビューではさらにカメラマンになった経緯、被写体センスと「作品撮り」、カメラ撮影やレタッチの技術論とその意識などについて深掘りし、「良質な写真」がどう生まれるかに迫っていく。

 

Special Interview スチール撮影 早川結希さん 〜運営インタビュー編〜

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